重版出来!【漫画レビュー】

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読んだ後に仕事をする気になる漫画、私的No.1の作品です。主人公は怪我で柔道を断念して、出版社に入社した黒沢心。彼女の漫画編集者としての仕事への熱意と周りの人への波及、時には他の誰かの行動が黒沢へのエンジンとなる。

仕事ってやる気ですよね、チームですよねと、自分も腐ってばかりいないで、ちょっと仕事に真面目に取り組まなきゃいかん。読むたびに、そんな気分になさせてくれる漫画です。

書籍情報

作者:松田 奈緒子
出版:小学館 ビックコミックス
ジャンル:お仕事、漫画雑誌編集、やる気促進
既刊:全20巻
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主要登場人物 

黒沢 心  漫画雑誌バイブスの新人編集者、小熊、食いしん坊、3分以上は悩まない
五百旗頭  先輩編集者、クール
中田 伯  作中漫画『ピーヴ遷移』を描いている漫画家、他人との関係に興味が無かったが…

レビュー&感想

黒沢は、柔道でオリンピックを目指してきた中で鍛えられた体幹で、見事に役員面談を切り抜け、出版社である興都館に採用されます。配属は青年漫画誌の週刊バイブス編集部。先輩の五百旗頭の下で漫画雑誌編集者としての一歩をを踏み出しました。

仕事として関係のある漫画家、アシスタント、編集者、営業さん、本屋の店員さんなどなど周りの人達をどんどん巻き込みながら、持ち前の集中力と突破力と笑顔で「仕事」をしていきます。

主人公の黒沢の成長だけを描いただけの単調なお話ではなく「仕事をしている人って、みんな素晴らしいよね」と感じられる、本に関する業界の群像劇とも言える作品になっています。

絵柄は独特ですが、作品にはとても合っているように思います。最初は、挫折しかけたベテラン漫画家さんが立ち直る話で軽く始まります。

その次は3話分を使っての、新刊漫画がみんなの力でヒットしていく流れの中で、仕事だから営業が嫌いも好きもないと斜めに答えていた若手が、自分を見つめ直して仕事の面白さ、そして積極的に取り組んだが故の達成の快感を得るエピソードです。

この時の彼は、最新刊になってもちょこちょこで出てきます。この話の中で、営業さんと多くの本屋さんのバーチャルなチームが、自然に売れたのではない、俺たちが売ったんだ!と誇るところがまたカッコイイ! ヤバイ、俺も仕事しなきゃというように気分がとても高揚します。

まぁ漫画読んでいるのは自宅でくつろいでいる時なんで、翌日に出社する時にはすっかり忘れているわけですがw

漫画業界の変化も描かれていて、SNS、電子書籍、Webコミック、メディア化、デジタル作画とそれに対となるアナログ手法などにも触れられ、ひいては昨今の課題としての本屋さんの減少も扱われていたりします。そしてサイマル翻訳での世界7ヶ国語対応とか、さらに文字が読めない人への対応とか、この先の漫画が進むべきところまでも扱っていきます。

ストーリー毎に関係する人達も、新人漫画家、デザイナー、他雑誌の編集者、広報担当、校閲者、印刷会社の人達、アニメ会社の人達、本屋さん、取り次ぎの人、そして漫画に限らず様々な本を作る人達と業界全体に広がっていき、目の前の課題に対して前向き、時には後ろ向きで、でもみんななんとか頑張っていて、そして最後には再び前を向くというストーリーがイイですよね。

読み進めていくと、異なるストーリーで出てきた別のキャラ同士がコラボするような話とか、長期連載作品とはしては当然の作りがされているのですが、業界全体を描こうとしているからなのかキャラの再登場に唐突な不自然さが少ない気がします。

本作品では、黒沢がデビューから見ている個性的な漫画家である中田との関係は常に描かれ続け、中田の成長物語として描かれている側面もありました。そしてついに最終巻ではまさに一皮むけて成長した中田が描かれることで一つの大きな区切りが付けられると同時に、その後ろには次世代を感じさせるようにして納得のエンディングを迎えてくれています。

おすすめ!

ちょっと気分がへこんでいて前向きになりたい時に。
漫画をはじめとして「本」とそれに連なるお仕事の世界が好きな人におすすめ!

最新刊

全20巻で完結です。