「魔法少女×ベンチャー企業」という基本設定は面白そうですね。テクノロジーを背景にした魔法がある世界で、本当の少女ではなく社会人が職業として、怪異と呼ばれる妖怪のようなものを退治する「魔法少女」を務めます。会社は少人数のベンチャー企業という設定なので大手企業との確執も見られそうです。
レビュー&感想
瞬間記憶などと呼ばれる見たものを録画のように全て記憶してしまう特殊技能(スキル、ギフト)がありますが、主人公の桜木は、就職活動でもそれを生かせずに苦戦していました。
『数字であそぼ。』でも主人公の横辺がその能力を持っていますが大学の数学科では全く生かせず、凄そうでいて意外と使い道が難しいスキルなのかもしれません。
リクルートスーツにツインテールで就職活動をする女子学生がいるのかというツッコミは置いておいて、他社の就職面接中での怪異退治の出会いから、桜木は魔性少女ベンチャーの「マジルミエ」に新卒で就職することになります。
桜木をいれて5人の小さな会社にいるのは社長を始めとしていずれも濃そうなキャラ達ですので、それぞれについての今後の掘り下げが楽しみです。
バトル系のストーリーには必須である感覚脳筋系キャラには先輩魔法少女の越谷がいます。怪異退治においては期待通りの天才無鉄砲ぶりで、右も左も分からない新人で慎重な桜木とは良いコンビです。
集中すると周りが見えなくなる二子山は超優秀なエンジニアですし、おそらく一見平凡そうにしている営業の翠川はかなり仕事が出来る設定でしょうね。
この漫画における魔法は『魔法科高校シリーズ』に出てくるようなテクノロジーをベースにしたもののようです。
プログラミングで新しい魔法を構成することが出来て、コードとして転送が可能で、出力装置を兼ねている魔導具の「ホーキ」でそれを魔方陣として具現化することで発動させるという仕組みを取っていますのでSF要素も入っています。
魔力漏洩という言葉も出てきたので、魔法のエネルギー源をどう設定しているかも興味が湧きます。3巻辺りの表現だと、ミドルウェアと言われていたりで即興のソフトウェア開発のようなことしてますね。
有能なエンジニアのアイディアで今あるものをちょっと変えたら上手くいったというのはSF系あるある展開ですが、戦闘中に要件定義からコーディングしたりとかまでだと、少しやり過ぎな感じがしないでも無いです。
ベンチャーの会社組織の設定なので、発注とか協力会社とか大手会社の横暴とか現場主義とか、お仕事関連のネタも出てきて読者層として社会人狙いもありそうです。契約社員と直接面談する大手企業の社長はちょっといないかなと思いますけど。
さらにコスチュームや変身エフェクトへのこだわりとか、大きなお友達に寄り添う方面へのケアもあります。実は桜木も意外と詳しいような描写も出てきましたが、冒頭のスキルのおかげかな。
そのうち、大手企業の資本力との戦いに勝つとか、引退や転職または管理職になった元魔法少女とかも出てくるでしょうか。男性陣の誰かに美人の奥さんか恋人とかでいたりとか。
チラ見せされている大手会社のエースさんは今後の展開の予告でしょうし、公務員の魔法少女はいるのかやアイドル扱いされる魔法少年はいるのかとかも気になりますが、結構話は広げられそうです。
3巻では、2巻に続く怪異退治でのリリーさんが素晴らしいです。描き下ろし番外編も最高です。幻の3人の挨拶シーンもほっこりでよいですね。会社のノリがIT業界みたいなのはわざとと思いますが、使う魔法の開発をその場でってのは、あまりにやり過ぎると嘘っぽさが出ちゃうかな。
魔法少女になってみたかった方(男性も可)や
日々の仕事に疲れて、こんな民間企業があればいいのになと妄想に浸りたい方に