異世界転生ものには意外とスローライフ系の作品も多いですね。現実世界でもFIREとか田舎暮らしみたいなものが流行だからで、あくせく働くのは今時では無い感じを読者も求めているのでしょうか。本作の主人公エリザベスも、ゲーム内への転生後のセカンドライフでは追放エンドを回避出来なかったため隣国に追放の身となり、その後のサードライフとして「悠々シスター暮らし」を始めます。
レビュー&感想
エリザベスはサードライフで自由を手に入れて悠々と言っておきながら、最初の人生がイベントプランナーで過労死みたいなことをしているので、結局のんびりとは行かずに、惣菜パンを作ってみたり、バザーを活性化したり、温泉街をプロデュースしてみたりと、いろいろと手を尽くしてさらなる金儲けに余念がありません。
教会自体も最初にエリザベスの手切れ金が寄付されていたり、結婚のための式場業界みたいなことをしていたりで、ちっとも貧しいイメージが無く、下手な家庭よりも豪華な食事が用意されていたりします。金銭的に困らないのは良いことですが、そうするとどうにもスローライフ感が薄いですね。
そんな中で転生先のゲーム「プリンセスライフ 〜暁の告白〜」が、いろいろな国の王子様と恋に落ちるゲームであったため、ゲーム世界の強制力が働いているのか攻略対象の王子様と次々に絡むイベントが発生します。
これにはエリザベスの最初の人生でのイベントプランナーとしての経験、そしてセカンドライフでの公爵令嬢として身につけた礼儀と教養を役立てて対応していきます。
さらにそこで活躍するのが、エリザベスを追ってやって来た騎士団長を休暇中のレオニード。大剣を振り回す圧倒的なパワーで荒事はお任せです。
エリザベスからは監視に来たと思われていましたが、その理由は一途な恋心。奥手で周りにはバレバレなのに、当のエリザベスにはのんきに翻弄されていますが、じれったいながらも二人の距離は少しずつ近づいているようです。
ゲームパッケージからすると攻略対象は4人いて、最初に出てきた王子が隠しキャラとされていたのでまだ2人分のネタが残っていましたが、ついに7巻で1人出てきました。
全体的にコメディタッチでもあり「ドヤザベス」とか、ゆるめの絵も多いので、のんびり進む感じはスローライフ系で良いのかもしれません。
ゆるい世界観の中でじれったい二人をニヤニヤ見ているのもいいなぁと思う方に。