頭にリボンを付けて袴姿で真剣を振るう女剣士といえば「真宮寺さくら」のイメージが強すぎますが、大正(太正)より少し前の明治維新直後の時代における刀を捨てられない武士達の闘いを描いた作品です。敵は新政府側となりますが、かなり殺伐とした世界観で少女と元会津藩士は目的のために人を斬り続け、自分の死を見つけようとします。
レビュー&感想
『GUNSLINGER GIRL』や『1518!』の作者である相田裕氏の新しい漫画です。どちらも好きな作品ですが、1作目の『GUNSLINGER GIRL』が殺人マシーンとしての少女の悲哀を描いていて、2作目である『1518!』では青春学園ものに大きな方針転換をしたかと思いましたが、また1作目のような殺伐とした世界に戻ってきました。2作目の幸せな世界も好きだったんですけどね。
あまり望まずに不死になってしまったという漫画だと、古いのだと高橋留美子の『人魚シリーズ』とか最近だと『虚構推理』もそうですね。『UQ HOLDER!』の不死はまたちょっと明るい描写が多いので違う系統な感じかな。血を媒体にして眷属を作ってというと吸血鬼なので『よふかしのうた』ですが、これも以外と明るめな話でしたね。
本作の始まりでは、気が触れても幕府や新政府に無理矢理生かされ続けている不死の母を殺して救いたいシノに、戊辰戦争を通じて天涯孤独となり死に場所を探す春安と、旗本の娘として隠されていた家業を償いたい菖蒲が協力することになります。余談ですがサクラ大戦にはあやめさんもいました。好きなキャラでした。
春安は出だしではただの浪人のようでしたが、地元会津ではかなり名の知られた武士であったようです。その優れた剣技で主人となったシノを守ろうとしますが、新政府側は銃をメインに使ってくる描写が多いので、刀と銃という主要な武器の移り変わりも対比として描きたいのかなと思います。
あの時代には命が今よりも軽いというか死がとても身近だということは知識として知っていますが、新たに登場させたばかりのキャラの命にも容赦がなく、ちょっと殺伐感の演出がより強いですね。
選ばれたテーマ的にあまりハッピーエンドにはならない作品のような気はしますが、まずは追い続けてみようかと思っています。
明治維新前後の時代と刀を振り回す長い髪の女の子が好きな方に。
最新刊
参照作品
『GUNSLINGER GIRL (Amazon)』
『1518! (Amazon)』
『サクラ大戦 (Amazon)』
『人魚シリーズ (Amazon)』
『虚構推理 (Amazon)』
『UQ HOLDER! (Amazon)』
『よふかしのうた (Amazon)』