未だに収束しきらないコロナウィルスの感染流行をモチーフにしたタイムリーなストーリーです。僕たちはお互いの顔をまだ知らない…として、マスクが今以上に当たり前となった世界を描きます。「ニューノーマル」のタイトル通り、職場で、学校で、今我々もそうしなければいけないと言われていることが描かれ、以前とは異なる世界であることに読者の共感を誘います。
レビュー&感想
主人公達が中学生くらいか高校生なのかは明確に示されていませんが、キャラクターとしては大人っぽく描かれているものの、異性への興味が強い思春期であれば中学生でしょうか。
それとも小さい頃から他人との交わりを制限された子供達は少し奥手の傾向が強くなっていて、高校生の設定なのかもしれません。
そんな今までとは違う世界の中で、授業中に気になるクラスメートを見つめてしまう男の子のモノローグのシーンから始まりますが、最初の2話では我々の知る世界からの単なる延長の範囲で、思春期の男女のやりとりが描かれます。
しかし3話からは、やはりちょっと違ってきていて、とても許容できないレベルの感染爆発が起きてしまった異なる世界であることが示され、SF的雰囲気を醸し出してきます。
銃を持った防護服の部隊が出てきたり、学食は席をアクリル板で遮られるようなレベルではない完全な個室に分かれた食事室であったりと、現時点での我々の世界とは似て異なる世界です。
その世界ではみんながマスクをして口を隠しているために、口元は異性に見せてはいけないものになったという設定です。しかし、遥人は、なぜか咲、エリカ、七海と次々に出会う三人の女の子に好かれ、そして見せてはいけないはずの口元を見せつけられます。
登場するどの女の子達も可愛く描けていて、その可愛い女の子がマスクに隠されていた口元を見せるという仕草がちょっとエロティックです。
でも漫画の世界からこの我々の世界に戻ってきて冷静に考えてみると、それって女の子の方から男の子へ次々と胸元を見せつけているかのようで、この世界の女の子の羞恥心はどうなってんですか!と思わなくもありません。
とはいえ、連載が開始したばかりの漫画にHなシーンを多めに描くことで、(男性の)読者を引きつけようというのはよく行われる手法ですので、ここからどう進めていくかでしょう。
電子書籍の表紙には帯のように「近未来SF群像劇」とあおり文句が書いてありますが、そのように銘打つならば、さらにもっと沢山の人の体験や想いを描いて行ってもらえると良いかなと思います。
今の感染状況がもっと恐ろしいものになったらというifが気になる人や
隠された口元をエロティックだと考えるのは、もちろんノーマルだと信じている方に。
最新刊
最新刊の4巻で、やっとシリアスな感じが前に出てきました。