海野高校ていぼう部では、何故か学校のセーラー服のままで釣りをします。そしてそのまま新鮮な海の幸を料理して食べます。漫画的にはもちろん可愛いから良いのですが、陽渚は校外でダサジャージは嫌で制服の方がマシだと述べていて、一応はお話の中での理由付けはされているようです。
レビュー&感想
高校生になると同時に、おそらくは父親の実家がある田舎に引っ越してきたと思われる陽渚が、ていぼう部に入って(入らされて)釣りの楽しさを知っていく漫画です。場所は熊元県で、長咲県の伍島列島に合宿に行ったりと、九州っぽい地名で表現されています。
ていぼう部がなんで女子だけかというと、男子は単独で釣りに行ってしまい部室に集まるのも面倒くさくて辞めてしまうからだとか。なお作品として男子の描写は学校の風景にちらと出るだけ、表情も分からずモブでさえないですが、とある部活だけ顔がある人たちがワンカットだけ出てきます。
男性は陽渚の父親と釣具店の店長くらいで、後は基本的に女子だけです。ひたすら女子キャラだけが登場する漫画は『ゆるキャン△』も同じですが、アニメなどでも出てくるのは徹底して女子チームのみというのは意外と多いですね。
臆病だけだやってみて楽しさを知って行く新人に、やや横暴だが行動力のある部長、寡黙なもののスキルを持つ先輩、何でもやってみようの元気が一番の同級生と、学園部活動系漫画での典型的なキャラ付けの4人で、もちろん釣りを主題にお話が展開します。
そうそう部室で酒飲む顧問の養護教諭のさやかちゃんもいました。ゲスさがいい具合です。陽渚の言う通り、まさにこの部にしてこの顧問ありですが、ちょっとダメだけどいざというときに頼りになる大人キャラも重要ですよね。ちなみにこの人はマジ猟師だったりする描写もあります。
ていぼう部のモットーは釣ったら食べる。そして掟は釣らざるもの食うべからず。釣った魚は直ぐに食べる以上、締めないといけないのですが、そこはなかなか普通のグルメ漫画で描かれないところで、ビビりまくる陽渚にも共感しつつ大事なことだなと思います。もちろん描写のエグさでは『ゴールデンカムイ』よりもずっとソフトですが。
真は魚屋の娘として魚料理のスキルも高いので「陽渚と真のお料理がんばるぞ!」という漫画内特別番組が何度か入るのも面白い仕掛けです。新鮮な海の幸は贅沢ですよね。
陽渚にも釣れても釣れなくても楽しいという言葉の意味が理解できるようになって来た楽しい部活も、まだ8巻で1年目の夏休みの合宿中です。部活漫画は先輩後輩の入れ替わりがとても難しいので、下手にてこ入れせずに、このメンバのままでずっと続けて欲しい気はします。
もちろん釣り好きな方と、知らない方でも釣りについて色々と学べて面白いです。
また新鮮な海の幸が好きな方にはとってもおすすめです。