自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。【漫画レビュー】

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子供にして既に腹黒であった王太子セシルが、ゲーム内への転生者としての記憶を持つ婚約者のバーティアの行動を観察して独白のように語るという構成が取られています。なので観察記録と。当初は面白い玩具として観察をしていたのが、いつの間にか自分でも知らないある感情が芽生えてきて…というお話です。

書籍情報

漫画:蓮見ナツメ(キャラ原案:八美☆わん)
原作:しき
出版:アルファポリス Regina COMICS
ジャンル:ゲーム内転生、ラブコメ
既刊:全6巻+0.1巻
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主要登場人物 

セシル   王太子、観察者、感情が希薄
バーティア 悪役令嬢(自称)、宰相の一人娘、資料作成スキル高

レビュー&感想

バーティアは令嬢もののストーリーには珍しく、最初はあまり可愛くない、ぷっくら小太りの8歳で別世界の記憶を語る痛い少女として登場します。話の中でもちょくちょくダイエットだのお菓子の話が出て、それはゲーム内におけるぽっちゃりな悪役令嬢の設定を覆すためとなっていますが、ひたむきに自分磨きに努力する女の子というキャラ属性の補完にもなっているようです。

彼女はゲームをしていた前世で心の支えでもあったセシルの幸せを願うがために、一流の清く正しい悪の華となって婚約破棄されることをセシルに一方的に宣言し、そしてそれを信念として行動することになります。

セシルが本来のヒロインであるヒローニアと結ばれるようにイベントの成立を画策したり、シナリオが他のルートに行かないように他の攻略対象の男子には恋人候補との恋のキューピッドになろうとしたりと、目的のために人の言うことを聞かず邁進かつ暴走し続けます。

その必死さ(面白さ)と併せ持つ優しさから他の令嬢達から「愛でる会」を結成されて保護されているほどです。後ほどありがたいお節介に対する被害者の会も作られそうになったりするのもイイですね。

このバーティアのお節介でめでたく成立した、アンネ×チャールズやネルト×シーリカなど、この辺りのカップルが次々成立して行く話は読んでいてとても楽しいです。

ただ有能過ぎるセシルは、バーティアからの情報を得て先回りしてシナリオを変えてしまい、結果として不幸な事態がどんどん回避されて本来のストーリーからどんどん外れていきます。それでもゲームでセシルの行く末を知っているが故に、めげずにセシルルートを成立させようとするバーディアとの間にちょっと亀裂が入るハラハラ展開もありますが、それがまたセシル自身に自分の気持ちと向き合わせる良いきっかけでした。

3巻の終わりには少し長めとなるクライマックスの卒業パーティでのシーンに入り、覚悟決めたバーティアのいじらしさにグッときてしまうのは、読者だけでなくセシルもでした。最後には悪役令嬢とヒロインがそれぞれが割り当てられた配役とは逆の行動を取って来てしまったが故の結果となりますが、馬鹿で本当に可愛いバーティアは5巻でちゃんとハッピーエンドを迎えますので安心して読んでください。そして最後の6巻はその後の溺愛ルートです。

おすすめ!

何をするか分からない目が離せない恋人を愛でる楽しさを知る方や
サブキャラ同士がくっつく展開も結構好きという方に

最新刊

全6巻で完結です。おまけで番外編という別の巻が出ていますが、値段は安いものの中身もとぉっーても少ないので、いずれも幸せそうな他のカップル達の個別エピソードとかあるとさらに良かったなと思います。バーディアが木の後ろからこっそり観察してるとかで。原作は続編が出ているようなので、そちらで期待ですかね。

新シリーズ

『自称悪役令嬢な妻の観察記録。』というタイトルで新シリーズが始まりました。こちらは現世でやりこんでいたゲームではなく読んだことのある小説が元になっています。その世界がが何故あるかはまぁ突っ込まないで起きましょう。面白ければ良いのです。

セシルの脳内ツッコミとかバーティアを愛でる周りの方々の温かい目とか、ノリは前作と一緒なので安心して楽しめますよ。ゼノの一言多い不敬な態度も少し増えていて良いアクセントになっています。