STAR TREK STRANGE NEW WORLDS Season 1 第4話【ネタバレ感想】

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『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』の第4話のネタバレ感想です。

今シリーズの敵役であるゴーンの恐ろしさを強調する戦闘系エピソードで、それゆえにラアンがメインとなる回ではありましたが、クルーそれぞれに良い描写が散りばめられていたように思います。タイトルの「メメント・モリ」は、「死を忘れることなかれ」というラテン語の言葉だそうで、その解釈としては今を頑張って生きなさいよみたいな意味になるとか。今回は、ラアンの保安士官日誌から始まるので、常に未知なる危険に対峙する宇宙艦隊士官としては、という意味も含んでいるでしょうか。

第4話 メメント・モリ

ラアンが日誌を口述する台詞とパイクの艦内放送から、今日が何らかの追悼の日であることが示されます。ところで今更ですが、ワープとか日常的に使っている中で日付の概念ってどうなっているのかと思ったりしますが、難しいので考えるのは止めておきます。

積荷の浄化装置についての機関主任のヘマーと士官候補生のウフーラのやりとりで、相変わらずの彼女がやや生意気だけど優秀であるというシーンをちょこっと入れますが、最終的にウフーラがなぜ通信士となったのかは、今後に納得のいくエピソードが欲しいところです。

目的地のフィニバス3号星に到着するも、応答がないところで今回の事件が始まります。上陸班を送るも生命反応は無く、乱れた衣服と大量の血痕を発見するのみ。そして軌道上では正体不明の宇宙船を発見します。ただ不明とは言っても、エンジンナセルが二つある時点で構造的にはいかにも連邦の船ですよ。

そこから通信が入って多数の怪我人がいるとの報告。なので転送しようとしたら、放射性鉱物の貨物船なので構造的に転送できないとなりますが、向こうに転送装置が無くても、こちらからロックオンすれば良いような気も。ここは積荷の放射性鉱物のために船の中に転送を遮蔽する構造物があるのだと理解します。

やむを得ずエンタープライズと貨物船を物理的にチューブで繋ぎます。こんなドッキング装置があったなんて。チューブが伸びて接続するところや、繋がるとチューブ内に明かりが灯るところは芸が細かくて良いです。ドッキングには両者の位置決めが大変ですが、23世紀なので自動制御で簡単なのでしょう。

敵船の痕跡などは発見できないまま、チューブを通じて多数の負傷者を艦内に移動させるウーナとラアン。そして、何があったかの話を聞いたり、子供が聞いた変わった音の証言から、状況証拠が積み上がって行き、何かに気づいたラアンがブリッジに特殊な信号の検知を進言。直ぐに実行したスポックが衛星の影に痕跡を見つけます。

ラアンの進言から、慌ててシールドを上げようとするパイク。でもチューブがまだ接続中だから出来ませんとオルテガスが返すのですが、さっき最後の人がもう乗船してたのでさっさと切り離せば良いのにと思ったら、ラアンがそのチューブの中にいて外を覗いていました。上手く出来てますよ。

ラアンがゴーンだと呟いた後に、Yの字型の戦闘艇のようなものに貨物船が攻撃されオープニング。ラアンはちゃんと逃げられましたかね。

けが人だらけの通路の中で、ラアンはチャペルに起こされます。チャペルに背負われている女性はさっきまでブリッジにいませんでしたかね? ウーナも腹にけがをしていますが、空気も漏れていない通路でみんなそこまで大怪我するかな? とにかく、ラアンはウーナに促され、ブリッジに向かいます。

艦がどんなに大被害を受けても、なぜかターボリフトは堅牢で絶対に稼働していますよ。ブリッジについたラアンは、パイクに敵がゴーンであることを伝え、まずは逃げることを主張。近くのガス惑星に避難することにしますが、そこの近くにはブラックホールが。操舵士のオルテガスはパイクの指示に従い、諦めの表情でそこに突っ込むのでした。

エンタープライズはなんとか逃げ切ってブリーフィング中。カーゴベイにある浄化装置は冷却システムが故障して爆発しそう。医療室は電源が切れて、薬品類も吹っ飛んだ。シールドにフェイザーをはじめとした兵器システムもダウン。ただし光子魚雷が1発だけ残っているという状況でダメダメです。

「相手を理解すればいつか敵が味方になる」は連邦の教えだけど間違っている。ゴーンは純粋な悪だと主張するラアン。人間は彼らの獲物でしかないという状況であることをパイク達に説明します。その後、パイクはラアンだけと会話して気遣い、今回も良い上司を演じてます。

辛そうに医務室にやって来たウーナは重傷で、パワーの無い医務室では、前時代的な「縫合」をするしか無くなります。こりゃドクターマッコイだったら毒づいていたとこでしょう。

当然、解決方法を見つけるのはスポックの役割で、もちろん今回もなんとか敵船を見つける方法を考案。それを使ってパイクは誘導も出来ない光子魚雷をマニュアルで落下させて当てて、見事に敵船を破壊しました。映像が見えないのだから下手に爆発シーンなどを出さず、軽い衝撃波が来た描写だけで敵船の破壊を示唆するのは玄人好みの演出です。

やった!と思ったら、敵の母船と2機の戦闘艇の接近を検知。味方を撃たせてエンタープライズの位置を知るとかゴーンの方が一枚上手でした。ピンチの盛り上げ方が良いですね。パイクはもう自棄だブラックホールへ近づけとチキンレースを選択します。

高重力で船体がひずみ、このまま船全体が破壊されると警告するスポック。それを避けるためにパイクは隔壁閉鎖を指示しますが、ここで取り残されてしまうクルーが。冒頭のシーンで転送主任のカイルと目配せをしていた友人と思われる青シャツの彼は、カイルを隔壁ドアの向こうへ押しやって命を落とすのでした。

スポックは論理的な選択だったと述べますが、まさにタイトルである「メメント・モリ」を感じさせる効果的なシーンです。

近づいて来たゴーンの戦闘艇が圧壊。さすがに航宙艦のエンタープライズよりは構造的には弱そうですからね。でもまだあと敵の母船と戦闘艇が1機います。

探査にでたシャトルの中のラアンとスポック。ラアンは、冒頭で説明された今日が追悼の日となった理由であるゴーンに襲われたコロニー船の「S.S.Puget Sound」に乗っていたことを話します。Puget Sound は、ワシントン州にある湾の名前だそうですが、ググると米海軍の艦名にもありましたので、船名としては歴史のあるものですかね。

ちなみに「U.S.S ENTERPRISE」の”U.S.S”は、United Federation of Planets Star Ship (惑星連邦の宇宙船)の略称のはずですが、”S.S.”だけだと、ただのStar Ship なんでしょうか。

当時の事件の記憶は曖昧だけど、それが今役立つなら辛くても思い出したいと、スポックの精神融合を受け入れるラアン。ゴーンは光で通信をしていることを思い出します。同時に自身の兄の記憶と、スポックに公式記録からは消された姉がいるという秘密を知るのでした。

この辺りの自分のために犠牲になった親族がいるのだという描写も、タイトルに引っかけている感じですね。

スポックがいとも簡単にフェイザーを調整して光通信に使えるようにし、ゴーンの通信に割り込んで、母船に戦闘艇を攻撃させます。うーん、恒星間飛行をしている技術文明が、そんな人間に簡単に解析かつ直ぐに真似できるプロトコルやレートで軍用通信なんかするかとのツッコミをしたいです。そもそも各種センサーが使えないガス空間だったでしょうに。映像の技術表現は結構良いのに、肝心のシナリオの納得感が薄いのが気になります。まぁスタトレですからね。

ただ、この後のブラックホールで浄化装置の爆発を囮に使っての脱出は、納得出来る流れですかね。どちらかというと気になるのは、アンドリア人系のヘマーの頭の触覚が、宇宙服を着る際にフードで隠されてしまったところかなと。あれって確か平衡感覚のための器官だったはず。ここはアンドリア人用の宇宙服が、エンタープライズには積んでいないとか、たまたまカーゴベイには置いていなかったということで。

死を覚悟してのウフーラとヘマーの会話で、まだ目標の定まっていないウフーラの描写があるのは、第2話から繋がっている感じです。

投下した浄化装置の爆発でゴーンを騙してエンタープライズはブラックホールからの脱出に成功。しかし直後はカーゴベイとの通信が繋がらず、何人ものクルーに加えてヘマーとウフーラまで失ったかと肩を落とし、その後に通信が繋がって膝を折って安堵するパイク艦長の演技はとても良いです。

ここで喜ぶ他のクルーに続いてスポックが軽く微笑んだのは、判断が難しいところですね。地球人の血から来る感情が表れてこれでいいような。私の計算では大丈夫なはずでしたので、みたいなクールな表情をして欲しいような。

最後はラアンの個人日誌で終わります。役目上の公式日誌から始まり、個人日誌で終わるのは前回のウーナと同じ作りになっています。今後のゴーンとの対決がどのようになっていくのかとラアンのメメント・モリとしての決意を感じさせながら終わります。

ちなみに、最後のシーンで亡くなったクルーの棺(光子魚雷のケース?)に掛けてある布(旗)は新しくデザインされたSTARFLEET COMMAND のものでした。気になって『ST2:カーンの逆襲』のスポックの宇宙葬の時のシーンを確認したら、そのときは惑星連邦のマークのもののようでしたね。

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