Amazon Prime Videoで放映している「スター・トレック:ピカード」のシーズン3の前半の感想です。シーズン1、2共に最初は良くて後ががっかりという、いやいやそれこそがスター・トレックでしょという自虐的な評価は置いておいてまずは見始めましたが、かつてのキャラに頼っている感バリバリで始まるのは先が見えて怖いです。でも最初の期待が低ければ後で盛り上がるかもしれません。
第1話 ネクスト・ジェネレーション ”The Next Generation”
IN THE 25TH CENTURYと表示されて始まりますが、確か2400年を超えて世紀が変わって直ぐくらいです。なのでTNGの最初からは40年、映画版の最後からでも20年以上の時間は経っている設定になります。
最初は老いたDr.クラッシャーらしき人が乗った船が襲われ、彼女は進入してきた敵二人を撃ち殺しますが、自らも重傷を負い、ピカードに通信を送ろうとするところでタイトルクレジット。
今回のエピソードタイトルはもちろん、ラリスとの会話でD型エンタープライズの絵を象徴的に取り上げてみたり、かつてのコムバッジに通信が来てみたりと、TNGのTVシリーズとの繋がりを強調する演出ですね。
ライカーの後ろに映る「FRONTIER DAY」の表示には250th Anniversaryと書いてあって、NX-01、A、D型のエンタープライズに、エクセルシオール(B型?)、ボイジャーのようなシルエットの艦が描かれています。ENTのNX-01が地球を旅立った時が基準でしょうか?
ピカードはライカーと会って、Dr.クラッシャーからの通信の暗号を解いて連邦の領域外のライトン星系に向かうことにします。ライカーは奥様のディアナを含めて家族と上手くいっていないようなことを言いますが、そこで出て来たケストラというお名前はお子さんかな。
一方で、今回も登場するらしいラフィ。スターフリートの情報部員として、なんかスパイのようなことをしていますね。
巨大なスペースドックもCGになってしまうとなんか存在が軽いです。そこに停泊しているUSSタイタンに乗り込みますが、副長は同じく今回も登場のセブンで、さらにラフォージの娘のシドニーまでブリッジにいます。出航を任されたセブンが「Engage」と言ってピカードが満足そうに頷くのはお約束です。
ピカード達の依頼を無下に断るタイタンの艦長のショーは堅物の嫌な上司のように描かれていますが、指揮命令を伴う軍隊系組織としてはそれが正しい気がしますね。提督の気まぐれに応じて航宙艦を勝手に動かす方が不味いと思いますよ。
ラフィは本部らしき所と通信しますが、こちらも相手との意思疎通が上手くなく、組織の硬直化みたいのを表現したいのでしょうか。ハンドラーという呼び方は『SPYxFAMILY』に出てくるとの同じ役職な感じかな。
でまぁ、セブンは艦長に反抗してタイタンを勝手にライトン星系へ。出発時にワープ9.99とか言ってましたが、寝てるうちに連邦の領域外に着くくらいの場所にいたんですかね? 偉大な二人の老人はシャトルを強奪して星系内へ。
ラフィは「レッドレディ」という言葉を手がかりに検索をかけて、レイチェル・ギャレットの赤い像の除幕式があることを見つけます。そこに警告を発しているうちに懸念していたテロが起きてしまいました。ちなみにこの像の女性、TNGの第63話『亡霊戦艦エンタープライズC』に出てきた同号の艦長さんのようです。
シャトルの二人はDr.クラッシャーがいると思われる医療艦エレオスを見つけドッキング。そして中に入ると彼女の息子を名乗る男性がいました。そしてやってくる強そうな敵の艦。で、エンディングになります。
エンディングをゆっくり見ると、作中に関係ありそうなものが色々と映っているようですね。どうやら冒頭でラフォージがいると言われていたFLEET MUSEUMはATHAN PRIMEのスペースドッグにあって、A型エンタープライズやVOYGER他が展示されているようで、後の回で出てきそうです。CGだとしても、そのシーンは見たいかな。
第2話 撤収 ”Disengage”
第一話の二週間前に、ジャック・クラッシャーと名乗るDr.クラッシャーの息子が何かヤバイことをしていたシーンから始まります。その相手が去り際に彼を見つけたと連絡を取ろうとした女性が、後で出てくる敵の親分のヴァーディクのようですね。
ライカーが言う、顔立ちで誰かを思わせるとか分かり易い伏線を置きすぎのような。艦が攻撃された時にジャックが派手にすっ飛ぶのは伝統芸ですね。敵さんもまるでシャトルだけを狙ったみたいな見事な射撃。
テロ事件のニュースを聞いているラフィ。あれだけの大きさの建物で犠牲者が117名って少な過ぎるような。で、またハンドラーと話しますが、相変わらず素っ気ない返事で、捜査は中止しろと指示されます。しかしラフィは”Disengage”の指示に従わず、関係ありそうなフェレンギのスニードを追うことを決めるのでした。
一方のタイタン艦内。艦長のショーは英雄を見捨てるのかとセブンに煽られて渋々と二人を助けることにします。タイタンがトラクタービームを切るために突っ込むのはカッコイイです。いきなり撃っちゃ不味いですしね。
またラフィの側のシーンになり、スニードと会おうと画策する時にラフィの元夫とかバックグラウンドも描写されるのですが、元薬物中毒とかも含め、彼女の掘り下げって必要ですかね。特に人気キャラという訳でもない気がするのですが。
ヴァーディクと名乗る敵キャラは煙草みたいのを吸ってワル感を醸し出してますが、初めの方に出てきたヤバそうなキャラが後でヨワヨワというのもよくありますからねぇ。
トラクタービームを使って、エレオスをタイタンにぶん投げられて驚くスターフリートの人達ですが、反作用とまでいかなくても別に引っ張る力だけでも勢いを付けて離せば投げられるような気はするのですが。宇宙空間に浮いている艦だともっと物理学的に複雑に考える必要がありますかね?
なんかショー艦長は組織の苦労人な感じがして同情してしまいます。まずクルーの人命を考えるとかその通りですよ。冒険好きの英雄老人達に振り回されて可哀想です。物語上どっちの側にいる人かはまだ分かりませんけど。
スニードに相対して殺されかけたラフィを救ったのはあの人でした。シルエットや武器で十分に分かるようにしておきながら登場するのは良い演出。1話目でのハンドラーとしてでの通信の時に”You are a warrior.”という言葉があったのは伏線でしたね。
タイタンと敵艦が再度相対する時に、先ほどエレオスとぶつかった時の破片もわずかに漂っているのは、きちんと作っている感があって良いです。シーズン2は地上のシーンばかりでなんだこれでしたが、ここまでのシーズン3は舞台が宇宙空間&大型の航宙艦の中でイイですね。
拘束されたジャックがあっさり脱走出来てしまうのもいつものこととはいえ萎えます。拘束時に身体検査しなさいよとか。そんなにシールドが簡単に落ちるなよとか思いますよね。
シックベイで命を取り留めて安静のクラッシャーを無理矢理起こすライカーは面白くてイイですが、結局ブリッジに来ても一言も話さないのなら、死にかけた人を無理矢理連れてくる以外の方法もありそうですけど。
そして提督のオーダーが優先とか、ピカードは単なる我が儘ジジィですがな。ますますショー艦長に同情します。で、ピカードが息子を認知して、何か遮蔽に役立ちそうな星雲内へ逃げて、次回へ続くです。
シーズン2の最後でわざわざDr.クラッシャーの最初の息子のウェスリーが出てきて、現世とは隔離した所で活動しているような描写をしたのは、新たな息子の再登場のためもあるのでしょうか。
ちなみにですが、Dr.クラッシャーは設定上は2324年生まれ、そしてピカードは19歳年上です。つーことはジャックを20年前に産んだとしてもかなりの高齢ご夫婦ですが、まぁ25世紀ですし、受精卵を凍結保存してたとかあるのかもしれません。
しかし、もしこの先でシーズン1/2で出てきたデータの娘相当のソージや第1話で触れられたライカーの子供とかも含めて、TNG主要キャラの子供達が揃って登場して活躍し、これぞネクスト・ジェネレーションとかやったら画面に物を投げちゃいますよ。
第3話 17秒 ”Seventeen Seconds”
ロールして逃げるタイタンはカッコイイですが、宇宙空間で必要な操船かなとは思ったり。星雲の奥に入ってセンサー異常で各スクリーンが乱れるのは分かり易い表現としても、本当ならセンサー入力による表示部分だけで、画面を構成するフレーム部分まで乱れるのはおかしいですね。まぁ、電磁パルスでもあるのだろうということで。
“BEFORE”では、ライカーもまだ黒髪で、ピカードのしわもかなり消されていそうでしょうか。ライカーの笑い方は昔のままで良いですね。ライカーの息子が産まれた時の話のようですが「いつか父になってください」と言われたピカードが、現在で息子と向き合う状況を暗示してます。さて、ここでディアナ・トロイが映像だけで出演。悪くない演出です。
ヴォイジャーの模型のカットから、謹慎中で苛つくセブンへ。シドニーが父であるラフォージの話をして慰めます。あえてハンセン中佐ではなくセブン中佐と呼んで彼女を軽くニヤつかせるのでした。
医務室で医者の一人として動くクラッシャーですが、トリル族のようなタイタンの船医に咎められます。20年のブランクがあるような言い方してますが、医者を辞めてた訳では無いですよね。でも負傷者を帰す時に顔の血ぐらいは拭いてあげましょうよ。
ピカードとクラッシャーだけで話し合い。何故ずっと息子を隠していたかをクラッシャーが語ります。どうやらちゃんとすることして出来た子のようです。確かに英雄の息子とか存在自体がやっかいですね。シーズン2では親とピカード、このシーズンではピカードと息子と、やはりタイトルが『スター・トレック ピカード』なので彼の物語という事ですかね。
ライカーがジャックに、家族として妻と娘がいる、そして息子がいたと過去形で話します。娘は第1話で名前が出てきたケストラで、息子は回想シーンで名前が出てきたサディアスでしょうか? いつ亡くなったかはこの後のどこかで語られますかね。
前話で息子だから助けると言っておきながら、実際には彼と向き合わないとかピカードは父親としてはどうなんだと、実際に人の親である私は思いますよ。演出なんでしょうけど。
攻撃されて跳ぶアクションが派手過ぎたショー艦長が大怪我をして、指揮権をライカーに譲ります。なんかこの時に飛び越えた手摺りって、揺れに耐える時に掴まるよりも怪我する時に目立つセットのような気がします。
Wikipediaを見たら、光子魚雷をフェイザーで撃って大きな爆発を起こさせるってヴォイジャーで使われた手だそうです。詳しい人はいるもんだ。”Call me number one.”はイイですね。
で、ラフィが助けられた人物の正体がウォーフと知って相棒になるシーン。クリンゴン人の顔はフルメイクなので、お年寄り感を少なめに出来て都合が良かったようです。
タイタンでは、ライカーとピカードという二人の船頭で面倒な事態に。ピカードの方が好戦的でクルーの人命さえも気にしていないような言動はどうなんでしょうね。あえて偏屈じいさんという感じを押し出しているのでしょうか。
星雲内に電気信号と生体信号があるという説明が二度繰り返されましたので、何かに繋がるのでしょう。艦隊の記録に無いとか言っちゃうと過去シリーズとの繋がりが微妙になりそうですが。
星雲内でタイタンが逃げるシーンでは、円盤部にちゃんと攻撃で穴が空いていて中が燃えているのが見えるように作られてます。こういう細かいこだわりは良く出来ています。
敵船の空間転移をさせてしまう兵器はテロに使われたものと同じようです。でも丸い輪で描写されてしまうと『ドクター・ストレンジ』のリングのパクりかと思っちゃいますw
ジャックとセブンが敵船に追跡されてしまう原因を見つけたカットでは、ガス管のバルブが大きなレバーなのはちょっと笑ってしまいました。まぁどんな時でも操作できる機械的な仕組みは大事ですよね。
倒されたジャックが気を失う時に見たセブンの後ろにいるのは、TNGで出てきた水晶体のようにも見えましたが何でしょう。探知されていた生命信号の元かなとは思いますが。
死にかけたジャックに対して行う25世紀の進んだ医術における電気ショックでも、身体が揺れる表現かいと。心臓を強制的に動かすために外から補助的なパルスでも与え続ける技術くらいはありそうには思いますが、分かり易さのためには仕方が無いでしょうか。
ピカードがジャックの元に駆け付けるシーンが、ライカーが言ったターボリフトで医務室への17秒が長かったという話に掛かって来ますが、これって今話タイトルにするほどのネタかなと思ったり。もちろん伝統のタイトルでネタバレは避けて欲しいですけど。
ジャックを襲ったクルーとラフィ達が捕まえた犯人とが、それぞれ可変種であることが判明。ここでDS9と繋がりました! これはウォーフを出さなきゃでしたね。可変種の中に親しい友人がいるって言っているので、まさかDS9からもオドーとかのキャラが出演するなら胸熱です。ということは敵船のフードを被った部下達はジェムハダー?
しつこく攻撃を主張するピカードに従ってライカーは敵船に戦闘を挑みますが、あっけなく転送リングで逆転されるタイタン。エンジンの制御を失って重力井戸に引き込まれる羽目になり、ピカードのせいにするライカー。交通事故を起こした老人みたいな顔でブリッジを出るピカードですが、いや判断して攻撃指示したのは艦長のライカーですよね。
ここまで艦内のシーンが中心で続いているので悪くないですし、次回への引きも良いです。でもシーズン2のように意味不明な中だるみ回が入らないか心配です。
第4話 勝ち目のないシナリオ ”No Win Scenario”
第5話 偽者 ”Imposters”
ちょっと2話分が忙しくて書けていないので、往年のファンには神回の第6話をお先にどうぞ。