STAR TREK STRANGE NEW WORLDS Season 1 第3話【ネタバレ感想】

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『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』の第3話のネタバレ感想です。

副長のウーナが主役の回です。ウーナと船医のムベンガというメインキャストの二人には、それぞれ隠しておきたい重要な秘密があるという伏線を張っておくのと、転送装置というSTAR TREKの世界における主要なギミックに着目したストーリーでした。しかし前話までのパイクも含めて、クルーの皆さん最初から色々と内面に抱え過ぎではと感じますが、これが今時の物語の作り方ですかね。

第3話 イリリアのゴースト

イリリア人の廃コロニーである、ヘミテット9号星への上陸任務です。惑星連邦としては地球の優生戦争の悪夢もあり遺伝子操作を禁じているとなっていて、遺伝子操作を行っていたイリリア人とは関係が良くないとの説明が副長日誌で語られて始まります。

上陸班は皆さんお揃いの革ジャン着てます。24世紀でも色つきスーツだけでは寒いのですかね。イオン嵐のせいで一時的に転送が困難でしたが、機関室からのパワーの融通でどうにかなりました。そのために一瞬、艦内が暗くなるほどとか、転送装置とはどれほどのパワーを使うものなのでしょう。

スポックと彼を探していたパイクの二人は遅れて転送を依頼するものの、イオン嵐の悪化もあり、それが治まるまで惑星上で待機となったところでオープニング。

エンタープライズの指揮は先に戻ったウーナが取ることになります。しかし、戻った上陸班メンバーは、次々に光を熱望するという異常な行動をし始めるのでした。おっと地上からヤバイものを持ち帰ってしまったぜというのも定番ネタですね。探査任務なら一度はやらなきゃと。

最初に発病した少尉は、確かに冒頭のシーンではフラスコとかに入っていてた薬品みたいのを見ていた人なので、そこに何かがあったということなのでしょう。うーん、この実験器具類は初回のカーリー人が使っていたものの使い回しでは。

上陸班にいたウーナもおかしな症状が一瞬出ましたが、なぜか直ぐに回復して大丈夫でした。ちなみにこの時に彼女は、コンピュータに25%部屋を明るくしてとか指示しますが、実はこれ、現代の21世紀でもAmazonのスマートスピーカーであるAlexaでほぼ実現できます。

Alexaは呼びかけの名前を「Alexa」から「Computer」に変更できるのですが、これはAmazon創業者のジェフ・ベゾスがSTAR TREK好きなので、そのような機能があるのでした。なにせウィリアム・シャートナーを宇宙旅行に招待してしまう人ですからね。私も初期のAlexaでかなり遊びました。

転送装置にはバイオフィルターがあるので未知の病原体をはじく仕様になっていて、アンチウィルスソフトのようにリストにあるものだけではなく、そもそも異物を防ぐ設計であると、機関主任のヘマーがウーナに説明します。転送前の個人のマトリックスを保持していれば確かにそれは可能そうです。

ヘマーは念のためシステムの診断をすると言いますが、この辺りのシステムとかソフトウェアの在り方はさすがにTOSとは違って昨今の技術背景が考慮されていて良いですね。

ウーナは保安主任のラアンに指示をします。そもそもカーンの子孫という設定であるラアンも何か遺伝子操作的なことが入っている設定なのかなと思ったら、いきなりラアンが発病です。そして彼女だけでなく瞬く間に感染者だらけとなり、コロナ禍を彷彿させる艦内ロックダウンでクルーは自室待機となってしまいます。

一方の惑星上では、パイクとスポックがイオン嵐の中でエネルギー生命体みたいなもの(後でパイクがプラズマ生命体と表現)を見てしまい、さてどうしようかと目を合わせます。

エンタープライズ艦内では、ウフーラと同室のクルーも発病してしまいました。ところで男女同室なんですね。まぁ異星人も一緒なくらいなので、地球人における男女の区別とか小さいことなのかもしれません。

バイオフィルターの不具合の調査のために医務室の転送装置を調べに来たヘマー。しかしドクター・ムベンガは強く抵抗します。ちょっと極端なくらいに怒りながらなので、何かがここにあるのだろうなということを意図的に匂わせます。私はいきなり裏切り者なのかと思っちゃいました。

艦内と惑星上のシーンが入れ替わりで進みます。イオン嵐の中でプラズマ生命体の部屋への進入を防ぐパイクとスポック。スポックは軽く怪我をしてヴァルカン人の血が緑色であることを忘れずに表現しておきます。確か血液に銅が多いから緑色という設定だったような。

ウフーラが同室でも感染しなかったのは暗闇で寝ていたからと分かり、光が感染媒体とは恐るべき仕組みだ!とかもう原因が突き止められますが。ウフーラもそのクルー達には近寄ったし、ドクターもチャペルも特に防護せずに明るいところで治療をしているのにまだ平気そうです。

ウーナがコンピュータに機密事項まで開示させてのイリリア人の調査を指示する場面でも、表示される画面の中がちゃんと作り込んであるのは良いですね。私みたいにいちいち一時停止して見る視聴者がいるからでしょうかw

ついには異種族であるヘマーにも感染し、下手に技術知識があるだけにマッドサイエンスばりに温度が1万度もある惑星のマントルを転送してくるとかヤバいことし始めます。もちろんウーナにフェイザーで気絶させられて止められますよ。

惑星上でもパイクがプラズマ生命体にフェイザーを構えますが、これも往年のピストル形状のTOS型フェイザーですね。パイクとスポックは倒れて抱き合います。ここは一部の性癖を持つ方々には美味しい場面かもしれません。そんな本が出るくらいに日本でもメジャーなら嬉しいのですが。

ついにドクターとチャペルも感染してしまったとなったところで、ウーナが実は私は病気に強いイリリア人なんだけどとカミングアウトします。既に回復した自身の血液から抗体を抽出できないかと提案するのですが、ここでは一気に解決とはならず、もうウーナの体内では病原体への対応が終わっているからそれは無理だとドクターが否定してしまいます。

弱ってきたドクターの弁からヴァルカン人に対してなども含めた地球人との種族間の差別意識などにも触れてみて、社会問題もテーマに含めるSTAR TREKらしさが表現されてますね。みんなが倒れて、ついに残った独りで孤軍奮闘というのもこの手のシチュエーションではお決まりの展開です。

ラアンが目を覚まし、治療をしていたチャペルを気絶させて機関室に行き、膨大な光を求めてワープコアを暴走させようとしてます。この時にラアンが操作するパネルも、高精細なGUIを表示する液晶とLEDではなく豆球で光らせているかのような大きなボタンやランプというミスマッチで作られていますが、これが良いのか悪いのか評価が難しいところです。

「オーグメントモンスター」(増強された怪物=改造人間)と罵られ、発病中で弱かったのかもしれませんが保安主任のラアンを殴り倒す副長。この人は身体も大きいし、かなり強そうです。しかしラアンがそう言うということは、お互いに秘密を知っているということ? 女性が平手でなくグーで殴り合うというのも今風と言えば今風なのかな。

ワープコアが暴走し始めて、コンピューターが有機種族には放射線レベルが危険だと告げますが、ここでもウーナはイリリア人だから大丈夫ということなのでしょうか。

さて、パイクとスポックは実はイオン嵐からプラズマ生命体によって守られていたという、ちょっと理解が難しいことになっています。そこから連邦に加盟するために遺伝子操作を元に戻したイリリア人もいたとか、戻したから抵抗力が弱まって滅んでしまったという説明をしているのですが、ちょっとここはこじつけ感があって繋がりが悪いですね。

さらにエンタープライズ艦内の方も、ラアンは機関室でウーナのそばにいて放射線を浴びたから、その体内には抗体が出来て、それを使ってみんなの治療が出来たとチャペルが説明してくれるのですが、それはちょっと理屈が飛躍し過ぎと思わなくもなく。チャペルが可愛いから受け入れますけど。

ラウンジでウーナとラアンは苺を食べながら和解します。イリリア人は優れた人種になるためではなく、あくまでも環境に合わせるために遺伝子操作をしたとか説明してますが、これって『星界の紋章』のアーヴみたいですね。彼らは結果として彼らを産み出した地球人類を滅ぼしてしまうのですが。

ウーナはパイクに自分がイリリア人であることを伝え、嘘をついてSTARFLEETに入隊したと告げます。でもそれじゃあSTARFLEETの身体検査はガバガバってことじゃないですか。途中のシーンでもドクターに血を採って使えと提案がありましたが、さすがにバレるでしょ。ここはやはりチャペルがその時に言ったように、イリリア人の身体についての情報が無いからということで納得するしかないですね。

パイクはもちろん理想の上司という設定なので、ウーナがイリリア人であることは問題にしない、イリリア人自体も惑星連邦に誤解されているのだと言って、組織の上にも黙っているさとします。リスクは俺が背負うぜとかカッコイイですが、後でどこかでそのリスクに直面する話が出てくるのでしょう。

次にウーナは医務室に行き、ドクターを問い詰めます。バイオフィルターが上手く働かなかったのは医務室の転送装置が適切にアップグレードされていないからだと、さらに医務室の転送装置のパターンバッファに何か入ったままだぞと。この辺は視聴者にもソフトウェアのアップデートとかの情報セキュリティの知識が備わって来ている時代背景もあって使える説明かもしれません。

実は難病にかかった娘を、その病気の進行を抑えるために医務室のパターンバッファに入れていると告白するドクター。TNGのゲストエピソード『エンタープライズの面影』でスコッティが使っていた手がこんなところで再利用!

当時は抜群のエンジニアであるスコッティだからこそ出来た芸当という扱いでしたが、専門外のドクターにも出来てしまうのはどうかと思いつつ、装置はあるのだからアイディアだけですよね。

でもそうするとオールドSFに散見される、不治の病の治療法が発見されるまでとか、超長距離の航行のためにとか使われるコールドスリープ(冷凍睡眠)よりずっと簡単で、使い方の夢が広がります。惑星連邦の施設が整った大病院には多数のパターンバッファがあるに違いありません。

ドクターは娘のためにエンタープライズのクルーを危険にさらしたことを激しく後悔し、自分の罪を認めて捕まることも覚悟します。でも、その自白に対して、隠した秘密があることをパイクに許されたウーナは、もちろんドクターを許すということになるのでした。(設備の個人目的での利用は横領ですけど、特殊な研究目的でということで)

一つの事件としては片付いて、ドクターが転送装置から最愛の娘を呼び出してお話を読み聞かせるシーンと、ウーナが個人日誌を記録しつつ最後にはそれを消去するシーンが重なって終わるのは、今回のストーリーがウーナの副長日誌から始まっていたこととの対比もあって、上手いエピローグでした。

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