レイチェル・ファーガソンは、輝く美形の王子の横で邪魔にならない 添え物の美形だが目立たぬ許嫁、とライバルの令嬢達から揶揄される女、……だったはずなのですが、王子からの婚約破棄後に本性を現します。ただし彼女は怒らせたらヤバイというよりも、敵に回したらヤバイというタイプの人でした。彼女を監獄に閉じ込めた後で「今 目の前で とんでもない場所で好き勝手やっている女は誰なんだ——?」と王子が思った時には、全てが遅かったのです。
レビュー&感想
全1巻、わずか3話しか無いストーリーですが、ノリで一気に駆け抜けてテンポが良い話は好きですね。絵もイイし各コマもきちんと書き込んであって密度が感じられます。
そもそも「監獄スローライフ」って言葉自体がよく考えればおかしいのですが、確かに主人公としては一つのバカンスとして楽しんでいたようです。
正直いうと、王子がレイチェルを捨てて選んだマーガレットに対し悪役令嬢としてどんな意地悪をしたのかとか、なぜ弟を含めた周りの男性陣が全てマーガレット推しになってレイチェルの敵に回っていたのかは、ほぼ語られません。しかしまぁ、いらないですね。その後からの流れが面白いので。
登場人物もレイチェルの侍女であるソフィア、そして第3話に出てくる友達のマルティナ等、ヤバイ人の仲間はヤバイ人だらけで、それらの人が動き回るのに合わせて周りの方々が狼狽しまくるドタバタ系ショートストーリーなのですが、個人的には出来る侍女(?)としての冷徹なソフィアのノリが大好きです。
令嬢系漫画だと、このような脇役のメイドさんや執事達がいい味出している作品も多いですね。懐刀の登場は日本の伝統芸だと思います。
もう我関せずと、温泉郷に逃避して湯治にしけ込む王様達も状況のヤバさを演出するのに一役買ってます。ところどころで、王子連中のBL小説化とか、王国ペタリズム協会会員とか、仕込みナイフのメイドさんとか、鉄板お約束ネタがごった煮のように突っ込まれますが、味付け具合がクドくも無く、個人的にはいい塩梅に思われました。
細かいことを気にしないドタバタ系ショートストーリーが好きな方に。
1冊に上手くまとまっているので軽く読んでみたい方におすすめ。
最新刊
全1巻です。