味噌汁でカンパイ!【漫画レビュー】

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隣に住んでいる幼なじみが制服にエプロンを着けて毎朝起こしに来て、愛情たっぷりの朝ごはんを作ってくれる。それなんて○○○?とか、ファンタジーかよと言いたくなりますが、主題である「味噌汁」に関しては真面目に取り組んでいる漫画です。

書籍情報

漫画:笹乃さい
出版:小学館 少年サンデーコミックススペシャル
ジャンル:グルメ、幼なじみ、家族
既刊:全14巻
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主要登場人物 

四位 善一郎 幼い頃に母を亡くした中二、実は家事上級者
三井野 八重 善一朗の同級生で幼なじみ、善一朗のお母さんになりたい

レビュー&感想

こんな中学生生活を送りたかったと人生を振り返って後悔してしまう漫画には『からかい上手の高木さん』とか『僕の心のヤバイやつ』とかがありますね。

この漫画はラブコメ要素はそんなに強くないものの、こんなほんわかした関係もまた羨ましいよねと思える中学生が主人公の漫画です。親目線で読むのもまた良しかもしれません。

お隣同士の幼なじみで実は窓から出入り可能なんて、今や伝説のというか悪く言えば古くさいラブコメ設定なのですが、冒頭から食パンをくわえて家を出る女の子を描いていたりと、そこはもう完全にわざとやっているようにも見えます。キャラ名に数字を入れているのもちょっとしたレトロ感ですね。

でも主題はもちろんタイトル通り「味噌汁」です。八重は、お隣に住んでいる父子家庭の同級生である善一郎に対して、おなかだけで無く心も満たしてあげるために「お母さんになりたい」と言って毎朝の朝ごはんを作ることを宣言し、特に味噌汁にこだわって行くようになります。

最初こそ砂抜きをしていないシジミとか出汁無しの味噌汁という料理失敗の定番ネタが来ますが、その先は使う水の違い、中に入れる具材は定番のものから変わり種まで、味噌の種類、地方の味、芋煮、雑煮、洋風、さらに自家製味噌造りと「お味噌汁漫画」として十分に誇れるだけの味噌づくしなネタが満載です。

そこに通い妻状態なのに恋愛に疎い八重と、その八重に片想いしている善一郎との、下手に重くはないラブコメムードが入って良い感じです。他の異性が出てきて邪魔したりするような回は無く、あくまでも味噌とそこに関係する食材に着目した話となっているのは正解だと思います。グルメが主題なのに登場人物の色恋にも注力して失敗している漫画は結構ありますからね。

もう一つのテーマとしては、善一郎が5歳の時に母親が亡くなっていることから父子家庭とか母親がいない子供の気持ちにもスポットを当てています。最新13巻ではそちらの話が中心になります。後は乙女ちっくで少女漫画脳な二見先生も外せないですよ。

1巻の作者あとがきによると全4話の短期集中連載の予定だったそうですが、そのまま連載継続となって、14巻まで行って完結しました。味噌汁ネタだけでしっかりと描ききったのは素晴らしいですね。

最後のあとがきにあるように、全てを片付けた後で日常漫画なので日常で締めたいという作者さんの望みが叶ったような終わり方で綺麗でした。天然な八重の最後にそう来るかというところからのおまけでの善一朗の今更な頭ぐるぐるも青春ぽくて良かったです。

おすすめ!

もちろん日本の食文化である味噌汁に興味がある方に

最新刊

最終巻の14巻の表紙は高校生になった二人です。進学に合わせて無事完結となりました。サブキャラそれぞれも順調な感じで、一昔前の漫画っぽい雰囲気はあるのですが、題材が味噌汁なんだからそれもイイかなと思えます。息子の成長に涙を流す親父とかも、ついついもらい泣きしちゃうとかね。

参照作品

からかい上手の高木さん (Amazon)
僕の心のヤバイやつ (Amazon)