「今のスター・トレックで失われたものがここにある!」そう言いたくなってしまうSFコメディドラマがDisney+で配信されています。第1シーズン第3話は、地球人類達とは異なる異星人の生態や文化をどう受け入れるかというお話です。
第3話 ある少女について ”ABOUT A GIRL”
前回のエンディングシーンの続きとして、クルー全員が赤ちゃんを上から覗いているカットから始まります。モグラン星人は基本的に男性しかいない種族とはいえ75年に1度くらいの頻度では女児が産まれることがあるとアイザックの蘊蓄。
異星人の変わった生態を扱うのもスペースオペラの定番ですね。そしてモグランの文化としての普通の考え方に基づき、ボータスと伴侶のクライデンはある決断をします。
シーンが変わって、初回でエドが慌てて躓いたスライムのような生物のヤフィットが医務室でドクターの診察を受けているところ。でも仮病でドクターを誘いに来ただけでした。彼もどこかの回で活躍しますかね。
下品なネタを披露してドクターに追い出されるヤフィットと入れ替わりでボータスが入ってきて、ドクターに産まれたばかりの娘の性転換手術を依頼してオープニングです。
もちろんドクターは艦隊の倫理規定を持ち出して断ります。でもその倫理は地球の人類のものです。TOSのマッコイの「私は医者だ」の名台詞とはちょっと違いますが、惑星連合の艦のドクターとして当然のように断ります。
ホロデッキで遊ぶ艦長のエド、ゴードン、ラマーの3人。馬に乗って西部劇のはずですが、高い建物の屋根の上から突然ダンス対決を言い出す敵役。ゴードンがプログラムをいじってました。
そこに制服のまま入ってきたボーダスに呼ばれて出て行くエド。プログラムを直しておけと。その後で敵役がシンディ・ローパーの”Girls Just Want to Have Fun”に合わせて楽しく踊りますwww
ボータスは娘の性転換手術をドクターに断られたことを艦長としてのエドに告げますが、エドも取り合いません。しかしモクラン人からすれば、女性であることは生まれ持った障害と同じなので直ぐに手術すべきという主張には一理あります。
ブリッジでは、もうみんながそのことを知っていて議論になります。もちろん艦長のエドと副長のケリーはそれをネタに今日も痴話喧嘩です。
こっそりモクラン人の艦を呼びよせていたボータス達。モクラン人の艦で手術をするならオーヴィルには迷惑はかからないはずと主張しました。
展望デッキで一杯やりながら、あらためて議論するとエドとケリー。産まれた子供に足が3本あったらどうするか? 宇宙には3本足の異星人だっているだろうと。
試しに女性でも強いセレア人の強いアララに、数世紀前まであったという設定のボクシングでボータスと勝負させて女性の優位性を示そうとしますが失敗します。
その後でボータスを元気づけようと、ゴードン、ラマーにポップコーン片手に無理矢理に赤鼻のトナカイの人形劇の映像を見せられて気づきを得るボータス。赤鼻を手術で治されていたらサンタの役に立たなかったではないかと。えっ、チョロくない?
気づきを得たボータスは配偶者のクライデンを説得にかかりますが、クライデンは実は自分は女性として産まれたのだとカミングアウトします。ってことは今回女児が産まれたのも遺伝が関係あるのですかね。
クライデンがその事実を黙っていたこともあって二人は喧嘩状態です。二人の意見は分かれ、エドは赤ん坊はモクラン人に渡さないと強弁し、ボータスは埒が明かないとモクラン人の調停委員会を持ち出すのでした。
ゴードンから調停人に指名されたエドはやっぱり逃げて、ケリーがやることになります。裁判とかのシーン、スター・トレックでもちゃちいセットでよくありましたよね。今回も同じです。
ボータスはモクラン人の艦に移る時に、ゴンダス・エルデンという作家の言葉を引用してエドとケリーに伝えます。それぞれの世界の文学からの引用で述べ合うのがモクランの文化だと。
ケリーが言葉を返しますが、その言葉を調べてみたらビヨンセが属していたデスティニーズ・チャイルドの2001年の大ヒット曲の歌詞です。うーん、聴いてみたけど知りませんでした。米国人なら誰でも分かるネタなのかな。
モクランで裁判が始まります。モクランの主要産業は武器なんだそうです。
アララがチタンの四角いブロックを綺麗な球にして女性の強さを見せますが、この人、普段どの程度の手加減をしているのだかよくわからんですね。まぁ深く考えてはいかんのでしょうが。
さらにゴードンのバカさで男でも駄目というのを示しますが。まぁモクラン人にすればどちらも異星人ですから意味ないですね。
どちらかといえばモクラン人の調停人の方が、地球の文化におけるたとえ話を出したりして、まともな論理で話しているように見えました。
そこで突然、エドはあることに気づいてオーヴィルに待機しているアイザックに惑星をスキャンさせます。そして見つけました!
エド達が連れてきたのはヘヴィーナというモクラン人の女性。女性は両親が自然に反すると性転換手術を受けさせずに、山の中で暮らしていました。私は幸せだと彼女は主張します。
突然出てきた女性を小馬鹿にするモクラン人の調停人。しかしその人は、先にボータスが言葉を引用したモクラン人の有名作家ゴンダス・エルデンであることが分かります。どーんでーんがえーし! 調停人は呆然として椅子に落ちるように座り、調停委員会は結論を出すために休会となります。
そして休会後に調停委員会が出した裁定は、…
結果を受けて調停の場に最後まで残ったボータスの表情は何を考えていたのでしょうか。エドとケリーもお互いを支え合うようにして退出します。
最後に、ボータスは赤ん坊の名前を「トパ」に決めました。赤鼻のトナカイのぬいぐるみをあげて、ボータスとクライデンは「彼」の幸せを祈って終わります。
下手に人類の価値観の押しつけに終わらなかったのは良かったかと、物語としての終わり方よりも文化の違いをどう捉えるかを考えさせた回でしたね。