国を追われて逃げる途中で知り合った他国の王子様が、毎晩お忍びで、勤め先となった男爵家の屋敷の壁を乗り越えて自室のテラスまでやってくる関係に。そして国王主催の王子のお妃選びの夜会で、彼女は身分違いを理由に身を引こうとするが… そんな王道お姫様扱いストーリーは、おっさんが読んではいけないやつのような気もしてきました。
レビュー&感想
悪役令嬢の濡れ衣を着せられたクレアは、パーティの前日に自国の王子に婚約破棄の予告をされ、国を逃げ出すという、よくあるパターンで自国のアホ王子と妹であるゲスいヒロインと別れを告げます。なおタイトルにある落ちこぼれとは、公爵家として期待された魔力を(当初は)持っていなかったことを指しています。
で、その移動途中の馬車の中で夢をみて、その世界が「成り上がり♡ETERNAL LOVE」というゲーム内であることに思い当たるのですが、正直、その設定いるかな?という感じで話は進みます。なんとも微妙なゲームタイトルは腹黒の妹がヒロイン役だからですかね。
現世の能力や知識を使う訳でも無いし、ゲーム内のストーリーもサスペンス仕立てになっていて独立した物語として十分に思えます。なので現在発売されている3巻まででは、転生である必要性はあまり感じられなかったのですが、ついに4巻で大きな問題が発生しその設定が活かされることになりました。
他国の王子様との出会いも、まずはいきなりの登場で困っているところを救ってもらったり、そして王子と知らずに一緒に旅をして仲良くなったり、冒頭に書いたように落ち着く場所を得たら王子は毎晩お忍びで訪ねて来るは、実は凄い魔力があって王子の国を救うことになって…とトントン拍子でクレアは家出令嬢からヴィークのお妃への階段をあっという間に駆け上がります。
これってその状況自体がゲームのシナリオっぽくない?という感じですが。優秀と評判の王子様はいつの間にやらクレアにベタ惚れで、溺愛系ではないのですが主人公が理想の王子様に求愛される王道少女漫画(原作あり)の作りだなぁという感じはします。
あとは、ヴィークの臣下のリュイ(女性)のイケメンぶりと忠臣ぶりもサブキャラとしてイイですね。
絵はとても綺麗ですし、クレアの母の死の秘密に迫るストーリーでも、敵らしき一族が少し見えてきたようで先の展開が気になります。その序盤戦となる母国の妹との確執も次巻あたりで進みそうですが、相手は典型的な腹黒お嬢様として描かれているので、どう決着をつけるのでしょう。魔力で操作されていたらしい父親や元婚約者の王子とも和解ができると良いのですが。
理想の王子様に正面から告白されてみたい方に。