誠実がモットーのグレイル家の娘であるコンスタンスは、夜会で婚約者の浮気相手に罪を着せられそうになりますが、10年も前に首を落とされて処刑された稀代の悪女スカーレット・カスティエル公爵令嬢の幽霊に憑依されて逆転します。彼女を助ける見返りは、冤罪で処刑されたことへの復讐を助けることでした。スカーレットを陥れた真犯人は誰なのか、貴族社会の闇の中で誠実&悪役令嬢コンビの謎解きの行方は…
レビュー&感想
完結してみないと最終的には分かりませんが、これは面白い漫画ですよ。おすすめです。ストーリーも良いし絵も良いです。貴族社会の闇を追うスリリングな展開と、誠実さが信条のコンスタンスと根っからの悪女であるスカーレットとの掛け合いもとて面白いです。
令嬢が主人公の漫画では貴族社会の陰湿さは定番の舞台表現ですが、その徹底ぶりが群を抜いています。そしてさらにそこに幽霊となってまで復讐というか謎解きを進めるスカーレットの潔いまでの悪役令嬢ぶりがさらに良い味をプラスしています。誠実がモットーのグレイル家の娘であるコンスタンスが憑代となっているのも、そのギャップが際立ち上手いです。
まず1巻は、コンスタンスとスカーレットの関係が始まるための最初の問題解決のストーリーですが、コンスタンスの婚約者を奪ったパメラへのスカーレットの反撃が、これでもかというくらいに見事で切れ味鋭く、上から有無を言わせない圧倒的な存在感がいっそ清々しいくらいです。悪意をたっぷりと含んだ台詞を吐くワルい顔がとてもカッコイイです。
そして2巻からは本筋としての、スカーレットの復讐が始まります。といってもスカーレット自身も誰が真犯人かを知らないので、文字通りコンスタンスがその手足となって、その謎を解くためにヤバイことをどんどんやって(やらされて)いきます。そしてついには命まで狙われてしまうくらいまでに。
お話はスカーレットの10年前の事件と今の貴族社会で起きている事件に繋がりがあることを示唆し始めました。もちろん敵が増えれば味方も登場してくれます。王立憲兵局のランドルフに四大貴族のオブライエンと強力な布陣です。敵側はどうやら巨大犯罪組織として憲兵局の敵でもあるようで、単なる復讐劇から国を揺るがす大きな事件への鍵となってきそうです。
伏線の置き方や切り返しも上手くなされています。時々、何かを知っていそうな描写が何度かなされる素行の悪いとぼけたハームズワーク子爵も気になる人ですよ。
正しい行いをすることを信じて生きてきたコンスタンスが、スカーレットにどんどん影響されて非合法な手段も使ってドツボにハマりながら謎を解明しつつ、最後には正義を追求することが出来るというストーリーになりそうです。でも事件が解決してもスカーレットは成仏しそうに無いですねw
各話の冒頭に入る1ページだけの前回のあらすじがコミカルで楽しいのもポイント高いです。綺麗な絵の中でのコミカル表現の落差も適切なので、良く出来たコミカライズだと思います。
謎がどんどん深まるサスペンスドラマが好きな方に
有無を言わさず説き伏せて難題を解決してみせる力を持ったキャラクターが好きな方にも