ゲーム内転生ものでは転生して望んでいた配役になれる場合もあれば、そうでないものありますが、この作品の主人公は悪役令嬢を望んでいて見事にその通りになり「やったー!!」と飛び上がって喜ぶのでした。成長してからも学園で悪女としての評判が高まっていることを知って目を輝かせたりするので、ちょっと斜め上の思考を持つ才女という設定ですかね。
レビュー&感想
アリシアは世界一の悪女になって歴史に残ってやることを目的として、勉学に剣術に魔法にと鍛錬し、ゲーム内というご都合主義もあってか、わずか7歳にしてめきめきと知力・体力を身に付けていきます。
さらに恋愛の方はヒロインに譲ると考えてしまったりなので、彼女がどこを目指しているのかよく分かりませんw ヒロインに出来て歴史に残る悪女に出来ないことは無いはずという対抗心が彼女の行動の原動力となっているようです。
ただ序盤で8歳にして国王に国家の内政を問われるというのは、ちょっと行き過ぎですかね。転生前の人生経験をプラスして考えても、その時点で世間に天才少女として名声が轟いていた訳でもないので。
たとえば、その後で向かう罪人の流刑地とされている最貧の村であるロアナ村で既に何か実績を出していあとかなら理解もし易いのですが。
そのロアナ村の扱いは、そこに住んでいるキャラクターを含めて、この後のアリシアの行動にも深く関わってきますが、そもそもこの村はゲーム上ではどういう扱いだったんでしょう。このゲームが好きだったはずのアリシアも実際に行くまで状況を分かっていなかったようですし。
アリシアが悪役令嬢を好んだ理由としては、綺麗事しか言わない良い子のヒロインがどうしても好きになれないからということになっていますが、物語が進んでいくうちに実際にヒロインであるリズのそのような描かれ方が際立ってきます。
リズがゲームのヒロインである伝説の聖女という基本設定は変わりませんが、学園の取り巻きからの盲目的な崇拝はともかく、国の重鎮たちは利用価値の視点でしか彼女を見ていないことも語られます。
アリシアの言にして「大変ご立派なお花畑」とスッパリ切られるような性格設定であり。王からは清らかで善良で純粋と言われれば聞こえだけは良いですが、現実を見ない単なる理想主義者であると。でも国にとって「聖女」は必要だから仕方が無いと。
リズはまるで宗教の教祖のような良い意味でも悪い意味でもまさに聖女という扱いになっていき「私は信じているから」という台詞が怖いほどです。それ故にアリシアとリズは益々反目して行かざるを得なくなっていくという展開でお話が進みます。
特にアリシアやその従者としてロアナ村から連れてこられたジルの命が危険にさらされる状況が起きてからは、リズの方が悪役としての立ち位置を固めた感があります。取り巻きが勝手に手を回して事件を起こすなんて典型的です。
確かにタイトル通りに、本来のゲームシナリオとは違って王子のデュークはリズを毛嫌いしアリシアを溺愛していくのですが、当のアリシアが恋愛方面は気になるにはしても二の次のようなので、メインストーリーは聖女対悪女対決の方となって行きそうです。
出来る女の子がガンガン進むタイプのお話が好きな方に
理想ばかり語る人って実は中身が無いし、正直ウザいよねと思ったことがある方にも