イケメンの婚約者をじっと観察しながら「攻めかしら受けかしら」と涎を垂らして妄想するリーディア・カペルは、もちろん腐っています。残念なことに私は隠れオタクなので実在の腐女子にお目にかかったことは無いのですが、電子書籍でもBLが沢山売られていることをみれば、それなりにいらっしゃるのでしょう。
また一方で「腐女子」というのは漫画等の登場人物の中で一つの記号(たとえば委員長とかツンデレとかの典型的キャラ)としてすでに確立されている感がありますね。男性としてその思考は理解できなくても、キャラとしては見ていて十分楽しめます。
レビュー&感想
エヴァルドとリーディアは、偽装婚約の契約を結びます。エヴァルドはがめつい叔父夫婦から家を守るために、リーディアは実家を出て小説家として自立するために、お互いに相手を利用したのです。
エヴァルドは浪費家の伯爵家の娘なら利用する生贄としても都合が良いと考えていたのですが、慎ましい娘(のように見えた)リーディアに少し心が痛むのでした。しかし、実はエヴァルドの方こそ生贄とされる側だったのです。
リーディアは、エヴァルドの期待以上に活躍し、伯父夫婦を退け、他の婚約者候補達も引き下がらせることに成功します。
その一方で「観察」を怠らず、秘密の観察日記の書き込みを増やしながらネタの神との至福の会話を続けるのでした。あぁ今夜も筆が止まらない。
怪我をしたリーディアを心配するエヴァルドさえBLネタに変換してしまうリーディアは、清々しいくらいに腐ったキャラとして立っています。
作品上、叔父夫婦や婚約者候補達は悪役側として登場しますが、リーディアに上手くやられてしまって直ぐに退場するので、読んでいてもそんなに悪い気分にはなりません。
令嬢が主人公の作品では、よくヒロインである令嬢側をより立たせたいがために、あまりにも酷い仕打ちをする悪役が描かれてしまうことがあるのですが、正直それは読んでいて楽しくはないので、この程度で流しているのは良いですね。
リーディアの手腕で当面の懸案事項が片付いてからは、タイトルにもう一つある方の「眼鏡公爵の初恋」として話が進み出します。
エヴァルドからの精一杯のアプローチを、全てBLネタに変換して受け取ってしまうリーディアをどう攻略するか、さらにエヴァルドの恋をかなえてあげたい公爵家の使用人の方々の思惑もからみながら、最後は読者が期待するハッピーエンドに向かっていくストーリーと思われ、次巻も楽しみです。
腐女子というキャラ設定が好きな方や
奥手なイケメンが照れながらアプローチしてくる世界観が大好きな方に。
最新刊
発売されているのは、まだ1巻だけですが、お話のスタートとしては良い感じです。