初めて出会った時にアニエスから蔑むような目で見られたベルナールは、彼女に嫌われていると思っていましたが逆でした。そんなの目が悪い人の仕草としてテンプレじゃん、気づけよ!と思いますが、ずっと勘違いしていたベルナールは、仕返しで実家が没落したアニエスを使用人として雇うという意地悪をしてしまいます。でも結果からすれば、それはアニエスの望みでもあったようです。
レビュー&感想
ベルナールは伯爵令嬢だったアニエスとは何度か会った事がありますが、その度に酷い目つきで睨まれていたので嫌われていると思っていました。なので父親の横領疑惑で没落してしまったアニエスに仕返しをしようと、たまたま彼を訪ねてきた彼女をメイドにしてしまいます。
もちろんそのアニエスの目つきはド近眼のせいという、よくあるド近眼女性と勘違い男性の古典的なラブコメかと思っていました。ド近眼彼女物としては最近では『好きな子がめがねを忘れた』が目が悪いので凄く接近する等の定番ネタを使いながらも上手く昇華していますよね。
ただこの作品では、ベルナールをして「おしゃべりな女性は苦手です」と言わせる元凶である周りの強力なサブキャラの女性達がとても良い味を出しており、彼女たちに外堀を埋められていくベルナールの葛藤が楽しいですし、その度に彼が溶けたり、崩れ落ちたりという漫画的表現も上手いです。
まず最初は、使用人頭のジジル。ベルナールの小さい屋敷の使用人はある一家だけで行っているため少人数で、お母さんかつメイド長という役割でしょうか。主人であるベルナールにズケズケと言いながら、当初から二人を本当に結婚させようと余計な応援(画策?)をしまくります。
セリアとキャロルは双子のメイド。ジジルの末娘達です。当然性格も母譲りで、これがまた元気というか黄色い声の合唱でうるさい位で、おとなしめなアニエスと上手い対称になっています。
そしてベルナールの母である有言実行のオセアンヌ。超出来るお母上様で息子には有無を言わせず、二人が偽装婚約と知ってか知らずか、アニエスをとても気に入って褒めちぎり、どんどん結婚話を進めます。
そして3巻から登場の義姉のイングリト。勘が鋭く、10歳年下のベルナールを色々な意味で可愛がってくれた彼が恐れる女傑の一人です。もちろん、オセアンヌと一緒になって二人の結婚式の企画を加速しまくりますし、街中での突然の襲撃に対しても義母との連携で圧倒的な強さを見せるのでしたw
という感じで強力なサブキャラ達に支えられながら、この手のラブコメの当然の流れとしてベルナールはアニエスに惹かれつつあり、一方のアニエスは偽装婚約で彼の親族を欺き続けることと婚約者という役割がいずれ終わってしまう事に悩みつつ、という感じですが、ここにアニエスが狙われる事件も重なりながらお話は進んでいきます。
最終的には収まるところに収まるのは分かっている訳ですが、そこまでの紆余曲折や二人の心の動きを楽しむのが偽装婚約系ラブコメの価値なので、この先も周りを固める強力な女性達の活躍と共に楽しみです。
目立つサブキャラこそストーリーの要と信じる方
奥手な男女が周りに支えられてというパターンが大好きな方に
最新刊
最新刊はこちらです。巻を重ねる毎に表紙のアニエスの表情が柔らかくなっていくのも良いです。
参照作品
他にも偽装婚約する令嬢物漫画を知りたい方は、こちらへ