我が家のリビングでのDolby Atmosのホームシアター用のスピーカーの配置を紹介します。リビングに全てのスピーカーを常設していたら邪魔なので、対応する映画を視ようとする度にいちいち設置をするのは面倒ですが、やっぱり好きな映画を視る時には映像も音も全部を楽しんでいる感もあって満足度も高いです。
数年前に地方に来て家を建てた時に、ホームシアタールームと出来るような小さな部屋を作っておきました。狭いけれどもいずれは壁いっぱいの120インチのスクリーンでとか夢想していたのですが、その部屋にピアノを置きたい妻との争いに敗れてしまい、結局リビングで映画を観ていました。
そのうちにTVを買い換え、AVアンプをAtmos対応の製品に更新しと着々と準備を整え、ついに去年、天井にスピーカーを取り付けてDolby Atmosの視聴環境を整えました。
最近は配信サービスでも4KやAtmos対応作品が増えてきているので良いタイミングでしたが、家を建てるのがもう少し後だったら、最初から天井にスピーカーを埋め込んで見た目もより良くできたのになと思っています。
機材紹介
4K/Dolby Atmos視聴環境は、以下の機材で構成しています。
- TV:SONY ブラビア KJ-75X9500G
- AVアンプ:マランツ SR6015
- 補助アンプ:FX-AUDIO FX-98E
- フロントSP:ヤマハ NS-F350B x2
- サラウンド/サラウンドバックSP:ヤマハ NS-F210B x4
- トップSP:ヤマハ NS-210B x4
- サブウーファー:ヤマハ NS-SW300B
- センターSP:オンキヨー D-309C
スピーカー構成は7.1.4chでスピーカーが12個(フロントx2、サラウンド x2、サラウンドバックx2、トップフロントx2、トップリアx2、センターx1、サブウーファーx1)もあります。リビングに並べるとスピーカーだらけで邪魔なので、サラウンド/サラウンドバックは使う時だけ出して繋げます。
最初の頃はトップスピーカーも付け外ししていたのですが、毎回脚立を出すのが面倒になって今は付けっぱなしです。スピーカー単体はともかく、スピーカーケーブルの見た目が少しよくいないですかね。壁と同じ白色にして目立たないようにはしているのですが。
TV:SONY ブラビア KJ-75X9500G
リビングなのでスクリーンとプロジェクターとはいかずに液晶TVです。これまでに自分で買ったTVのサイズは以下のような変遷をたどっています。
14型 ブラウン管 実家を出て初めての一人暮らし
28型 ブラウン管 就職して買い換え/5.1chにも挑戦
47型 液晶 マンション購入時/デジタル放送用
55型 液晶 タイムシフトマシン対応
58型 液晶 4K入力対応
75型 液晶 4Kチューナー内蔵
やはり買い換える時にはより大きいものが欲しくなり、どんどんサイズが大きくなっています。75型は無印良品の幅160cmのTVラックに載せていますが、横から少しはみ出るほどの大きさです。
ちなみに購入時の価格だけで言えば、デジタル放送が始まったばかりの時に購入した東芝の47型が一番高価でした。今の液晶TVからするとかなりの厚みがあるものでしたね。
重さだけなら28型のブラウン管TVが一番重かったです。若い頃はともかく今なら多分持ち上げられませんね。75型液晶は重量は軽いですが、幅が165cm位もあるので一人では怖くて持てません。
液晶か有機ELかは悩みましたが価格に差がありすぎたので液晶です。液晶にしてサイズ拡大を取ったと。なお58型のTVもまだ使えたのですが、4Kチューナーがついていなかったので、オリンピックを4K放送で視聴するためというのをもっともらしい理由にして買い換えました。58型はピアノ室で予備用として保管中です。
Android TVなので、Amazon Prime Video、Apple TV+、Disney+、dアニメストアと、全てアプリで視聴出来ます。時々調子が悪くなって再起動が必要ですが、映像的には十分綺麗で満足しています。
TVは毎年新製品がでるので、こちらはブラビア液晶の最新の75型です。
AVアンプ:マランツ SR6015 + FX-AUDIO FX-98E
AVアンプはDolby Atmos対応製品から選びましたが、先にスピーカーを変えていて、それ以前に長いこと使っていたヤマハの安いAVアンプの音が貧弱だったので、中級クラスとして選択しました。
後で述べますが、NS-F350Bのような4つもユニットが付いている大きめのスピーカーを鳴らすには、これくらいの価格帯でないと厳しかったようです。
Atmos対応製品なのですが、パワーアンプは9チャンネル分です。前後の天井にトップスピーカーとして4つを接続して7.1.4で鳴らす場合には、7+1+4=12のチャンネルが必要ですが、一般にサブウーファーは専用のアンプを内蔵しているので、11チャンネルがあれば良いことになります。
なので2チャンネル分足りないのですが、それはピンコードでプリアウトして別アンプで鳴らすことになります。このために追加で付けているのがFX-AUDIOのFX-98Eです。トップスピーカー専用としているので、5000円くらいの安アンプです。
スピーカーをほぼヤマハで揃えたのにアンプはマランツというのもちぐはぐですが、マランツのアンプを使ってみたかったのです。
HEOS対応でAmazon Musicとかを直接鳴らせるのも良いですね。最近はあまり音楽を聴くためには使っていませんが。
ちょっとブラビアとの相性が良くないようで、設定画面への遷移が上手く行かなかったり、TVの電源を入れても音が出なかったりがよくあります。SONYとマランツのどっちが悪いのでしょう。東芝のTVだと問題なさそうなのでSONYかな。
フロントスピーカー:ヤマハ NS-F350B
これは購入時にかなり悩みまして、フロントだけでも高価な良いスピーカーとするべきか迷いました。最終的には使用目的は音楽では無く映画であると決めて、安く抑えて全体をヤマハで揃えることにしました。
結果からすると、今は音楽鑑賞は自室でという過ごし方がほとんどで、リビングで音楽をがっつり鳴らすことはほぼしていないので、映画視聴用と割り切ったのは正しい選択だったかと思います。
スピーカーユニットが4つあって、うちウーファーが2つなので、サブウーファーがいらないのじゃないかというくらい低音が出ます。
普段のTV視聴ではフロントとセンターだけの3chで鳴らしているのですが、あれっ?サブウーファーを消し忘れたっけと思うほどで、迫力重視のホームシアター用としてはばっちりです。子供達のゲームでも戦闘シーンの音とか凄く目立ちます。
ただしデカくてめちゃくちゃ重いです。1本で25kgあります。倒れたら一大事なので、子供が小さい頃であれば購入の許可が出なかっただろうなと思います。
ソファーに座るとツィーターが耳より高い位置になりますし、75型のTVの横に置いてもTVがちょっと小さいかと錯覚するほど存在感が半端ありません。おかげでシンプルなリビングからは遠くなってしまっていますね。
今はAmazonで買った石板の上にインシュレーターを片側6個入れて置いています。石板に載せているのは音質面の配慮もありますが、実はルンバ対策でもあったりします。
昔持っていたトールボーイスピーカーは、根元がルンバに削られて地肌が出てしまっていたこともありまして。今のルンバは当たりがもっとソフトのようですが。
サラウンド/サラウンドバックスピーカー:ヤマハ NS-F210B
サラウンド(真横)とサラウンドバック(斜め後ろ)は、同じスピーカーです。以前はサラウンドにさらに古いヤマハのブックシェルフ型のスピーカーを使っていましたが、毎回スタンド設置してとか面倒になって、運ぶだけで済むように4台揃えました。
音場セッティング後に置く場所を間違えると意味がなくなるので、背中に識別用のテプラを貼っています。
スリムでソファーに座るとちょうど耳の位置辺りにスピーカー部が来るので良い感じです。
トップスピーカー:ヤマハ NS-210B
トップ(天井)スピーカーは、当初別記事で書いたTD307MK3を使うつもりでした。色も白で壁と同じで合うかなと。
ただ取り付けようとしてみたら、ちょっと大きくて、かつ2kgもあってそこそこ重かったので、これが天井に付いていると地震が起きた時など危ないかもしれないと諦めました。
一方でこのスピーカーは仕様値は1.6kgなのですが、持ってみるとかなり軽い感じがしまして、また取り付けアダプタ(SPM-8S)も小型で設置性がよいことが分かったので、これに変えました。
値段も5000円くらいで安く、トップスピーカーにそれほどの音質は必要ないと思われたので選択しました。
サブウーファー:ヤマハ NS-SW300B
サブウーファーは、YST-FSW050を持っていたのですが、スピーカーユニットの口径が16cmで、フロントスピーカーのNS-F350Bのウーファーユニットと同じ口径だったので、迫力負けするかと買い換えました。
こちらのユニットの口径は25cmですが、前述の通りNS-F350Bはダブルウーファーでかなりの低音が出るので、これが必須だったのかというと悩ましいです。見た目もデカいですしね。
センタースピーカー:オンキヨー D-309C
センターだけがヤマハではなくオンキヨー製品です。ヤマハのNS-210Bも昔は持っていたのですが、センタースピーカーは台詞とかメインの音が出るので、それなりのものが良いとされています。
かといってヤマハのNS-C500で揃えるとちとデカい。TVの下に置けません。デノンのSC-37という小さいスピーカーも買って、これだとブラビアの足の高さ以下で邪魔にならずに下に入るのですが、ちょっと貧弱。ということで前から持っているこのスピーカーを使い続けています。
当然これでもTVの下には入らないので、テレビの裏の画面のやや後ろに置くことになっています。頭が少し画面の下で被って塞がれている感じなのですが、ユニットは10cmでコーンはほぼ見えているので無視できるかなと。
センタースピーカーが置けるようなTV台にするという案もあったのですが、それだとさらにスピーカー位置が低くなって台詞が下がるので、ちょっとここは解決策がなく放置中です。あるからもったいなくて使っているという状況ですね。
スピーカー配置
Dolbyの公式ページにチャンネル毎の推奨スピーカー配置が示されています。
平面図
公式ページの推奨位置を参考にして、我が家のリビングでは以下のような配置としています。
緑の丸がデフォルトの視聴位置で、ソファーの真ん中に座った時の頭の位置になります。SR6015の音場セッティングの開始位置もここです。
画像の縦方向はTVが置いてある壁側の幅の制約、画像の右方向はダイニングがあるので空間は空いていますが、ダイニング使用時でもギリギリ邪魔にならない程度の位置という制約を受けています。
視聴位置と各スピーカーの角度は推奨値内にしていますが、サラウンドバックはやや狭めです。おそらく真後ろからの音は左右のサラウンドバックの中央に定位させれば良いので、あえて推奨位置は広めなのかと思われますが、視聴位置から60°で等間隔に置かれている方が良い気がしたので、なんとなくそうしています。
サラウンドも真横に置いているのは、後からも述べますが真横からの音の効果を考慮してです。
トップスピーカーは、フロントスピーカーの軸線と重なる位置が推奨ですが、やはりトップスピーカーを取り付けている梁の位置の制約を受けてフロントスピーカーより少し広がった位置になっています。
側面図
こちらは側面からの図です。トップリアスピーカーの位置がちょっと推奨値を割っていますが、これも取り付け場所の制約です。ソファーを少し前に出せば良いのですが、ソファーにも定位置というものがありますし、それほどの影響はないだろうと。
サラウンド/サラウンドバックは、ちょうど耳の高さに来て良い感じですが、フロントは少し高めになっています。まぁこれもほぼ誤差内ですね。
気になるのはトップフロントの位置と思われますが、推奨値範囲内にはあるものの、推奨配置としては視聴位置からフロント/リヤ共に同じ距離が理想です。
実はこれは家族みんなで視聴する場合があることを想定に入れています。ソファーは3人掛けなので、家族全員が座ることは出来ず、あぶれたらソファーの前の床に座ることになります。その位置だとだいたい図中の赤い点線の丸の辺りに頭が来ます。
そうした時、緑の頭の位置から具合が良いように天井スピーカーの前後の位置を揃えて配置すると、床に座った方の赤い丸の位置では、トップフロントがほぼ頭の真上に来て、フロント/リヤの中央はかなり後方になります。
そうすると上からの音がかなり後ろから聞こえてくる状況になりよくありません。実際7.1.2でトップスピーカーを一つだけで試してみた時に、頭の直上にスピーカーあるとやや後ろから聞こえる感じがしました。なので、さらに後ろにあるとすれば一層悪化することが予想されます。
そんな訳で以下のようにどちらの位置にいてもでも天井スピーカーの間になるようにとこのような配置にしています。
もう少しトップリアの位置を後ろに出来ればやりようもありそうですが、天井の設置位置は前述の通り梁の位置に依存するのでかなり制約があります。実効的には二つの頭の間の位置が、大体フロントとリアの中央のようにはなっているので、これで良いかと落ち着きました。
音質調整
スピーカー配置を決めた後で、片付けが必要なサラウンド/サラウンドバックは足の位置の写真をとって再現出来るようにしてあります。
スピーカーセッティングには Audyssey MultEQ を使ってお任せです。このアプリはマランツ/デノンのAVアンプに対応してますが、デノンのページの方が詳しそうなので、そちらのリンクを張っておきます。
測定は、AVアンプに付属の専用のマイクを使って指示される通りに場所を移動して6カ所測定します。もちろん余計な音は無いのが好ましいし、スピーカーの数も多くて時間がかかるので、平日に休みを取った時でもないと実行しづらいですね。
以下のように綺麗に補正してくれていますね。小さくて安価なスピーカーほど綺麗にはなりきらない感じでしょうか。正直、実際の差はよく分からないのですが、良くなっているはずと信じていますw
NS-SW300B(サブウーファー)とNS-F350B(フロント)のグラフを比べてみると、NS-F350Bでも十分に低音が出ていることが分かりますね。
SR6015には二つのスピーカー設定を記憶させて切り替えることができるので、本格映画鑑賞用の7.1.4chと通常のTV視聴用の3ch(フロント+センター)で、それぞれ測定とセッティングを行って使い分けています。
感想
実際にDolby Atmos作品を視聴して見て満足しています。アクション、SF映画好きとしては納得です。
たとえば『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』とか『ターミネーター:ニュー・フェイト』とかの作品だと、上からの音がしっかり入っているのが分かって良いですね。なお配信元によってAtmos対応になっているかが異なる場合もあるのでお気を付けください。
その他のAtmos対応映画でもヘリが飛ぶシーンや嵐で雷がゴロゴロ鳴るシーンだとトップスピーカーの効果がよく分かります。Dolbyが提供しているサンプルデータもありますよ。
短いですが、サラウンド/サラウンドバックスピーカーを再設置した後で、各スピーカーの音が出ているかの確認にも使えて便利です。意外と別になっているトップリア用のアンプのスイッチを入れ忘れとかありますので。
ただし、映画も幾つか視聴しているうちにDolby Atmosは、上から音が鳴るというよりも全体的な包まれ感だなとも思うようになりました。
せっかく苦労して付けたトップスピーカーが鳴ってくれるのは嬉しいのですが、そこだけが極端に強調されて自分もそこばかりを意識してしまうのは違うのかもしれないと。
なのでアンプのチャンネルやスピーカーの数の制約から、5.1.4chと7.1.2chで悩まれる方もいると思うのですが、個人的には7.1.2chの方が良いと思います。その方が音の包まれ感が強いです。
サラウンドの5.1chからのステップアップなら、いきなりAtmos用のトップを入れて5.1.2chに行くより先に7.1chでサラウンドの充実をするのをおすすめします。設置も簡単です。
アクション映画等では特に、音とか衝撃とかが真横から何か来るというシーンが結構あって、それだけに7.1chで真横に近い所にスピーカーがあるとその効果がはっきりと分かりますよ。
ただ冷静になって客観的にスクリーンを視ていたりすると、実際の画面と音が出てくるという方向は意外と合わないのですよね。
なぜなら自分が視ている目の先にある画面の中で起きていることと頭が理解しているならば、自分の真横からでなくスクリーンの中としての斜め前の方で音がしないと実態と合わないので。
もちろん登場人物の視点に同化出来ていれば真横からなのですが、そこまでのめり込んでいないと頭が音が来た方向とのズレを識別しようとして、一瞬あれっ?と思うことが時々あったりします。
まとめ
我が家の Dolby Atmos 対応のスピーカーセッティングをご紹介しました。ホームシアターをやってみたいな、あるいは既にやっているけどDolby Atmos にステップアップしたいなとお考えの方の参考になれば幸いです。